ワークショップ「ネット社会を通じて考える子どもの性的人権」
−2002AIDS文化フォーラムin横浜での実施レポート−



実施日: 2002年8月3日(土)13:00−15:00

場 所: かながわ県民センター

主 催: ECPAT/STOP子ども買春の会

進 行: 高橋利枝
(ECPAT/STOP子ども買春の会)
     土屋純
(日本YMCA同盟)

講 師: 浜田忠久(JCAFE)

参加者: 20名(男性3名、女性17名。会場ボランティア含)



ワークショップのねらい:

 2002年度から全ての公立小中高等学校等におけるインターネットの接続され、「iモ−ド」などの携帯電話の普及など、子どもを取り巻くネット社会は急速に広がりつつあります。ネットを通じたコミュニケーションの機会が増えると同時に、事件に巻き込まれるケースもでてきました。このワークショップでは、今年2月発刊された「インターネット上の子どもの安全ガイド・ECPAT編(日本語版)」(図1)を紹介しながら、インターネットの基礎知識に触れ、学校や家庭でどのような対応が望まれるか、ロールプレーでの会話やグループディスカッションを通じて子どもの性的人権が侵されないために、何ができるかを考えてみました。





内 容:

(1) ワークショップにおける3つの原則(下記参照)の確認

1.18歳未満の子どもを性的に描写(筆記、視覚、聴覚的なもの)してはいけない。

2.子どもの利益(性搾取から保護される権利など)は、あらゆる事柄よりも優先されるべきである。

3.インターネットを介して子どもが有害なものに誘われるリスクを減少させる。

 そのために何をしたらよいかを考える。

(2) 青少年とインターネット関連記事紹介

(3) コミュニケーション・ツールとしてのインターネット−その利点と課題
(浜田忠久氏・JCAFE)

子どもがインターネットを使う際、有害なサイトから保護する手段としてフィルタリングソフトの活用がありますが、それによって適切な情報を取捨選択することが困難になったり、子どもの成熟度やその国の文化に応じた対応が必要性とされることも指摘されています。このことからも技術の便利さと危険性をまず大人が把握し、その指導のもとに子どもがインターネット世界に触れることが理想的だということがわかります。


(4) ロールプレイ…学校や家庭での会話をグループごとに再現(詳細は別紙資料をご参照ください。)

(5) グループ・ディスカッション、意見発表

(6) まとめ…ECPAT/ストップの活動を通して、子ども性搾取とネットとの関係、「インターネット上の子どもの安全ガイド」から「ネットスマート・ルール」と「ECPATの方針」紹介

参加者感想:

ディスカッションでいろいろな意見を聞くことができ楽しかったです。普段学生同士でしかディスカッションをする機会がないので、様々な年代、立場の方々からの意見を聴くことができました。メール、メル友について年代による意見の差が大きいと痛感しました。(20代学生・女性)/参加型でとてもおもしろかったです。子どもを保護することも大切だと思いますが、情報を読み解くちからを子どもたちにつけること(大人も必要でしょうが…)が求められているように思います。(50代・女性)





ワークショップ「ネット社会を通じて考える子どもの性的人権」レポート
添付資料:



ロールプレイ(会話の続き作り)

ケース A: 親子の会話 (設定→あなたは、高校生の子どもを持つ親です)

お母さん(またはお父さん)さっき友達のA子からメールが来てね、今メル友と会ってるって言うんだけど・・・

問い→このように子どもから話された時、あなたはどうしますか?

(Aチームが作った会話の続き)

親: A子ってどんな子なの?

子: 別にフツー。

親: メル友ってどんな人なのかな?

子: さあ?

親: その子の親はA子がメル友に会っているの知ってるの?

子: 知らないんじゃないの?

親: あなたもメル友と会ったりしてるの?

子: 会ってないよ!!

親: メル友でいい人もいるかもしれないけど、犯罪者に会うこともあるから、あなたもだけど、A子ちゃんにも気をつけたほうがいいと言った方がいいね。

子: 考えとくわ!


ロールプレイ(会話の続き作り)

ケース: 生徒と先生の会話(設定→あなたは学校の先生です)

生徒: この前、B子がメル友に会うって言うからついて行ったんだけど、それが変な感じの奴で結局会わないで帰ってきちゃった・・・。

問い→生徒からこのように知らされてどのように対応しますか?

(Bチームが作った会話の続き)

先生: それは正しい選択だったね(ほっとする)。メル友ってみんな持ってるの?(状況把握)

生徒: うん。別に悪いことじゃないし・・・(でもちょっと後ろめたい)。

先生: 変なやつではなくて、かっこよかったらついて行ったの?

生徒: うん、多分ねー。

先生: 会ってどうするつもりだったの?

生徒: 別に先生に関係ないじゃん(うざったくなってくる)。

先生: B子のその後も心配だね・・・。それにしても、何で出会い系サイトに行くの?

生徒: クラスでは出会いがないから。サイトだともっと人間関係が広がるから。

先生: うちのクラスの男子じゃだめか?

生徒: うん・・・。


ロールプレイ(会話の続き作り)

ケースC: 親と先生の会話(設定→あなたは学校の先生です)

親: うちの子が、同じクラスのC子ちゃんが、学校のパソコンからインターネット   で、出会い系サイトで知り合った人と会ってるって言ってるんですけど・・・。

   
問い→学校の保護者から言われてどうしますか?

(Cチームが作った会話の続き)

先生: え?うち(学校)のパソコンからですか?学校からは、フィルターがかか  っているので見えないはずですよ。

親: でも・・・。

先生: どんな人とあったのですか?会って何をしているのですか?とりあえず、   学校のパソコンがどうなっているかお見せしましょう。




ロールプレイ後の感想と提案

<ケースAについて>

− 親にこのような相談をする時点で、子どもには不安があるのでは?そこに親が気づき、気持ちをくみ取ればよい。

− 自分が子どもの立場だったら、ただ否定されるのではなく、理由をつけて分かるように、アドバイスがほしい。ただ、自分が実際親の立場だったら、困惑する。「メル友」というものを正確に理解しておらず、漠然と悪いものだという印象を持っているだけ。

− とっつきにくい。子どもにとってのA子は一体何なのか?特に仲良しではないかもしれない。ネットや携帯の人間関係は、大勢とつながっているようで実はとても希薄なのでは?

− この場合心得ておくこととして:?出会う前にその人のことをよく知る、?会うときは誰かに自分の行動を告げていく、?会うときは自分の身を守れる道具を持って行く。

− 親子でこのようなコミュニケーションがあるのは素晴らしいが、親の心配、子どもの言い分をお互い正確に理解しているか?

− 親としてはメル友に関する情報をもらい、子どもがどのようなイメージを持ち、リスクを理解しているのか、状況を把握する必要あり。

− PCを家族共有スペースにおいておく工夫。


<ケースBについて>

− クラスでは出会いがないと言うのに驚く。社会人や大学生が合コンをするのと同じ感覚?

− クラスで、メル友や出会い系サイトについて話し合う場を設けては?

− 悪いことではないと思っていても、なぜか子どもは後ろめたく、他人に話しづらい。事例が表面化しにくいのが問題では?

− 親はインターネットについて詳しく知らないので、必要以上に心配していると思う。

− 子どもと話し合う場を設ける前に、親もメル友について学ぶ必要あり。

− 子どもがどこの誰と知り合い、出会うかについて親は知るすべなし。お手上げ。

<ケースCについて>

− まずはC子に事実確認を。

− 学校でどこにでもつながる環境があるのがおかしい。学校側で、フィルターをかけ、つながるサイトをいくつかに絞った方がよい。

− 学校側にもっと親身になってほしい。

<全体について>

− ネット社会化の中で、新しいルール(防衛ルール)や意識が求められる。この変化は、男女がいて癒しや優しさが出会いを求める以上、避けられない状況。

− 現在の困難な社会状況の中で、大人が子どもにモデルを示せなくなっている。人間的接点、深い感動を継続して持つことは並の努力では困難。

− いい人と悪い人はどのように識別するのか?→何を基準に?、出会いの形によって異なるのか?、どのくらいの期間で相手を評価するのか?、危険を感じたときの対処方法、これらを日ごろから考えておく必要あり。

− 子どもに危機感がない。

− 自分が子どもの頃を思うと、身近にある人間関係以外に人間関係を求めるのはなぜかわからない。

− 大人と子どもの間に日常的な会話、信頼関係が必要。大人が子ども行動に常に関心を持っておく。

− 子どもに出会い系サイトを使用する際のネガティブな情報をきちんと提供する。

− 子どもが大人に話すこと自体、子どもは大人に自分はどうすればよいか相談し、また大人がどう考えているか聞いている。

− 親・教師以外、適切アドバイスを子どもに対してできる大人の有効利用。

− インターネットにはしるのは男性の方が多い、加害者は男性が多い、またセクシュアリティの問題にも言及する必要あり。