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ECPAT/ストップ子ども買春の会


2003年1月20日  パブリックコメント募集への応答として提出

「いわゆる『出会い系サイト』の法的規制の在り方について」に関する
ECPAT/ストップ子ども買春の会の見解と提案



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A.問題認識について

 Tの第2において「きっかけの圧倒的多数は女子児童からの勧誘」(2ページ)とされ、統計が示されているが、以下の点において問題がある。

(a) この統計は事件となったものについての分析であり、「出会い系サイト」におけ る書き込み全体でみれば、男性(大人)からの勧誘が多数である。問題の構造を明ら かにするためには、「出会い系サイト」の書き込み全体の分析が伴うべきである。

(b) 事件となったものについて、女子児童からの勧誘が圧倒的多数を占めている理由として、女子児童側の心理を考慮する必要がある。男性の書き込みに対してメールを送ることは、男性側に「OK」又はそれに近い意思を持っている印象を与える可能性が高く、実際に会わない場合でもその後も継続してその男性からのアプローチを受けやすくなる恐れが高くなる。これに対して、自ら書き込む場合には、それに反応してメールを送ってくる男性(複数のメールが送られてくる可能性が高い)の中から選択ができ、無視することもできる(しつこくメールが送られてくる場合もあるだろうが)。書き込みよりもそれに反応してくるメールの方が情報が多く得られるため、男性の書き込みに反応するよりも、自ら書き込んでメールを待つ方が、より判断がしやすく、自分の方で選択できるという安心感があるはずである。

(c) 男性側については、児童買春禁止法や条例を意識して、書き込みにおいては希望年齢を明示せず、子どもと思われる書き込みに対してメールを送ることで危険を減らそうとする者もいるであろう。

(d) もちろん、以上のような状況を踏まえれば、「出会い系サイト」に子どもがアクセスできない/書き込めないようにすることや、子どもに当たる年齢が明示された書き込みを禁止し、及び排除/削除する方策を講じる必要があるのは当然である。

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B. 「出会い系サイト」運営者、プロバイダー/携帯電話等事業者(以下、「運営者・事業者」とする)の責任について

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a) Uの1及び2(5〜7ページ)において不正勧誘行為の禁止や携帯電話からの「出会い系サイト」利用禁止が謳われているが、ここで利用する男性(大人)や児童への対策だけを書くのではなく、そのような行為がなされないようにする、即ちその禁止を実効ならしめるという運営者・事業者の責任をより明確にすべきである。Uの3(8ページ)を同1及び2と一体化し、男性(大人)と並ぶ、対策の中核に据えるべきであり、具体的には、以下の方策を明記すべきである。

(b) 「出会い系サイト」に、18歳未満の者が当該サイトを利用できないことを明示するだけでなく(現実にはこれだけでは言い訳/アリバイ作りに過ぎない)、運営者に対して年齢確認義務を課し、一定の認証手続きを導入させる。もちろん、偽装を防げないため、これだけでは不十分である。

(c) 携帯電話におけるフィルタリングについても開発・導入を促すべき。なお、網羅的なフィルタリングの即時導入は困難でも、事業者側で指定する特定のサイトについてアクセス制限を掛けることは可能ではないか(サイトは膨大な数があり、すぐに移転できるため、もぐらたたきにはなるが)。

(d) 児童に対する勧誘、あるいは児童からの勧誘と思われる書き込みについては、サイト運営者がそれを知り次第削除し、児童に対する勧誘については同時に警察に通告する義務を課す。書き込みをした者のアクセスを遮断することも技術的に可能であり、そのような措置も義務化してはどうか(但し、これも限界があるが)。さらに、プロバイダー/携帯電話等事業者が、そのような書き込みを知った時には運営者に対して削除を要請する義務を課す。プロバイダー/携帯電話等事業者は児童買春を促す恐れのあるサイトに対しては警告及び契約解除をできるようにする(これは、約款の解除事由に加えることで可能のはず)。

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C. 児童に対する措置について

(a) 児童による「不正勧誘行為」の禁止(あるいは、防止のための措置)は必要であるが、そこから児童自身に対する措置を一足飛びに導入することは拙速である。まずは、この禁止を根拠として、上記の運営者・事業者等への義務付けや学校・親・児童自身への教育・啓発を、男性(大人)の処罰と並んで進めるべきである。

(b) ここで示されているような措置を導入すると、性交等、否、メールでのやり取りや面会に至っていない児童でも、そして、冷やかし、暇つぶしであっても、「出会い系サイト」で書き込みをしたというだけで、強制的な手続きによって警察が個人情報を得、それに基づき、補導・保護、家庭裁判所への通告まで行なわれる可能性がある。現実の運用においては、深刻性の低い場合には口頭での指導で終わり、特に記録も残らないケースも多くなるのではないかと思われるが、それでも警察が個人情報を得、恐らくは、その情報自体は残るという懸念を禁じ得ない。

(c) また、運用において、どのような基準でサイトや書き込みが選択されるかが明らかでないが、決め撃ちあるいはランダム選択にならざるを得ないのではないか。そうなると、事件化以前の書き込みについて、当該児童に対してこのような強制的な手続きをすることについては恣意性を免れないことにならないか。

(c) 少年法第3条第1項第3号は、「・・・その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年・・・」を家庭裁判所の審判に付するとしている。「出会い系サイト」に書き込みをした児童を家庭裁判所の手続きに委ねるということは、(少なくとも形式上は)被害者予備軍としてではなく、犯罪者予備軍として扱うことになる。これは、商業的性的搾取の被害児童に対して非懲罰的アプローチを取るという「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(ストックホルム会議)の「宣言」及び「行動アジェンダ」の原則、又、その精神に則って立法され、買春者側の責任を確立した児童買春・児童ポルノ禁止法の趣旨に反するものである。「出会い系サイト」対策とは言え、このような措置を導入することは、児童買春・児童ポルノ禁止法の運用、そして将来の改正に対してネガティブな影響を及ぼす恐れがある。

(d) なお、少年法第6条第2項は、「警察官又は保護者は、第3条第1項第3号に掲げる少年について、直接これを家庭裁判所に送致し、又は通告するよりも、先ず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、その少年を直接児童相談所に通告することができる」としており、この点からも、一足飛びに家庭裁判所での手続きのみに言及することは拙速ではないか。〔信頼する家裁調査官からも意見を聞いたところ―「虞犯以下は児童福祉で対処する」ことが原則であり、家裁の待合室で恐喝や強姦等重大犯罪を犯した少年たちと「出会い系サイト」に書き込みをしただけの子どもたちが一緒にいるという状態はどう考えても異常である。児童買春・児童ポルノ禁止法によるこれまでの検挙数から想定しても、現在の家裁の調査官体制ではとても対処できない―との意見だった。〕

(e) 今回の案は、事件に至らない段階での「出会い系サイト」利用に係るものであり、事件となったものにおける被害者については、児童買春・児童ポルノ禁止法に則って対応がなされる。これについては、ECPAT/ストップ子ども買春の会は、児童買春・児童ポルノ禁止法の今次改正に際して、専門機関(センター)を設置し、虞犯少年としての扱いでない方法で支援をすることを提案している。問題は、事件に至らない「出会い系サイト」利用時点で、児童に対してどのような対応をするかということであるが、上記の通り、現段階においては、強制力を伴う手続きを導入することは時期尚早である。

(f) 児童については、警察の補導等の担当部門や「少年サポートセンター」の活用、警察外部の機関の活用あるいは新設などによって、「出会い系サイト」に係る相談窓口を設けてはどうか。この窓口は、警察、家庭裁判所、児童相談所(ECPAT/ストップ子ども買春の会の提案する「センター」)とリンクし、同窓口における相談・カウンセリングに加えて、必要に応じてこれらの機関と連携し、適当な場合にはその手続きに委ねることとする。


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D. まとめ

 以上に記しましたように、まずは、運営者・事業者等における対策によって児童が「出会い系サイト」を利用できないような環境を作るとともに、教育・啓発を進めることを優先すべきです。それでも効果が上がらない場合に、児童に対する強制的な手続きの可否について、ストックホルム会議「宣言」及び「行動アジェンダ」等の国際文書及び児童買春・児童ポルノ禁止法等との整合性確保を前提としつつ、改めて検討することとすべきではないでしょうか。いずれにせよ、この問題において、児童の側の責任を法的あるいは倫理的に追及することで、買春者をはじめとする加害者や関係する運営者・事業者等の責任を相対的に軽くし、また、児童が「出会い系サイト」を利用し、あるいは買春の被害者となることの背景にある事情を見えなくする/過少評価することがあってはならないと考えます。

以上


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